ActivePFC電源のススメ

電源に関しては出力や静音性ばかり重視されているみたいですが(かく言う私もそうでした・・)、MagicEyeでは、数年前からActivePFCの電源を選んで買っています。(実験用を除いては)
ほとんどの常時運用マシンはActivePFCにしたつもりですが、なぜかファイルサーバーにPassivePFCとかいう中途半端な電源をサーバーに使っていました。

表1.ファイルサーバーのスペック(2008/02/16現在)
CPU Sempron LE-1150
M/B Gigabyte GA-M68SM-S2
MEM ADATA PC6400-1G x 2
HDD1 WD5000AACS
HDD2 HDT725050VLA360
DVD-R Pioneer DVR-108
TV-CAP Canopus MTV2006HF
OS WindowsXP Pro(SP2)

Pentium4時代に買った電源(TwoTopで安売りしていた)
この時は「静音」を重視していたのだが・・・
「PASSIVE PFC」の文字が・・・

そこで、サーバーの電源を交換することにしました。選択の基準は、ActivePFCで、効率が良いもの(かつ安い!)と、言うことで
選んだのは、AntecのEarthWatts EA380です(¥6,647で購入@99)。
(Antecは静音ケースで有名ですが、電源はどうかわからなかったので試しに買ってみたのですが、これが後に述べるようになかなかスグレモノでした)

その前に力率について、簡単に解説しますと、中学校程度で習うことは、直流だけなので
消費電力 = 電圧 × 電流
ですが、交流の場合はそうではありません(交流は高校で習いまが・・私が学生の時代)。
交流でも、抵抗負荷の場合は上記の式は成り立つのですが、インダクタやコンデンサが介入すると
電圧波形と電流波形に位相のずれが発生して
消費電力(W) < 電圧(V) × 電流(A)
の関係になってしまいます。通常は交流では以下の式を使います。
皮相電力(VA) = 電圧(V) × 電流(A)
消費電力(W) = 皮相電力(VA) × 力率(≦1.0)
つまり、同じ消費電力で、電圧が同じなら、力率が悪い(1より極端に小さい)と、電流が多く流れることになります。

これを改善するのがPFCと呼ばれる技術で、負荷電力に従って動的に力率をコントロールするのがActivePFCです。
力率を改善すると以下のメリットがあります。

一応交換して、力率をチェックしました。
表3.力率の変化
旧電源 EarthWatts EA380
消費電力(W) 66 55
皮相電力(VA) 83 56
力率(%) 80 98

かなり改善されましたが、予期せぬ消費電力の低下が・・・。 この電源(EA380)かなり効率も良いですね。
電源はどれでも同じくらいの効率だと思っていましたが、10Wも違うとは!
年間で2,000円以上電気代の節約ができます。(CO2で換算すると、40Kg/年(中部電力の場合)の削減)
(でも、なんで中部電力は排出係数が大きいのかな。原発をあまり持っていない為か?)

すると、UPSのバックアップ時間も延びるかも・・と、思ってAPCのステータス画面で確認。
旧電源 EarthWatts EA380
負荷電力111W
バックアップ時間26分
負荷電力96W
バックアップ時間31分
あきらかに5分伸びました。(UPSはハブと、NAS3台も接続しているので、約40W引くと大体数値的に合います。)
ただ、思わぬ消費電力の削減によって、力率改善で時間が延びたのか高効率ため延びたのかわからなくなってしまいました。

まとめ

AntecのEarthWatts EA380ですが、Active-PFC搭載電源が10K円前後以上することを考慮すると、かなりお買い得かも知れません。
静音性については、8cmFAN搭載ですが、かなり回転数が低くて、静かです。
効率がいいので、電源内部の発熱が小さく、冷却のための風量がほとんど要らないためだと思われます。
大きな(12cm)FANで静音性をごまかしているいるものより、高効率=静音で選ぶほうがいいような気がします。
と、言う事は「40Wを切るPCの製作」も、この電源使えば・・ いずれ実験したいと思います。(あまり変わらんかな?)
(とりあえず、他のマシンも順次変更していこう・・っと)

2008.02.23追加補足
保有している他の電源も気になったので、調べてみました。
測定条件は、すべて上記のファイルサーバーに取り付けた状態です。
表5.他の電源と比較
旧電源
(TwoTopのバルク)
Antec
EarthWatts EA380
鎌力弐(400W) EverPower
PK-400
Liberty
ELT-400AWT
ノーブランド
(ケースのおまけ)
PFC Passive Active なし なし Active なし
消費電力(W) 66 55 60 63 59 61
皮相電力(VA) 83 56 89 91 60 87
力率(%) 80 98 67 69 98 70
待機電力(W) - 2 7 4 - 4
(待機電力は、メインスイッチ(後方)を入れた状態で、PCの電源を切った状態で測定。
測れなかったの項目は、すでに他に取り付けてしまって、また外すの面倒だったから・・)

やはりActecがダントツいいです。(待機電力も小さい)
鎌力弐は力率がめちゃくちゃ悪い(待機電力も大きい)。効率はまあまあってとこですか。ちょっと古いせいかも。
Libertyは効率80%以上を謳っている割には、Antecより消費電力が大きい。(Antecも効率80%以上を明記)
以外に健闘しているのは、ノーブランド電源です。ヘタな静音電源より効率が良いかもしれません。
本当は、負荷をかけた状態でも調べてみるのがいいのでしょうが、MagicEyeでは、無負荷状態が一番長いので、シバキの消費電力は測定していません。

タイトルを「Antec電源のススメ」にした方が良かったかも・・・